いつかのMerry Xmas
私が唇を尖らせた途端、イチローが私を抱き寄せた。

「お前が俺に靡かない方が、よっぽど意味が分からない」

低い声が、耳に響く。

「――何、その、自意識過剰。
 いつか、身を滅ぼすっつーの」

これだから、もてる男は手に負えない。

が、しかし。
酔っ払って頭痛のする私は、ここから逃げ出すほどの元気もなかったので、そのままにしておく。


むしろ、イチローの腕の中は居心地が良いとまで思ってしまうのは、いったい何のマジックなわけ?


――ま、いっか。

「ね、かっちゃんと一体、何賭けてたの?」

あんまり呂律が回ってないなと思いながらも聞いてみる。
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