続・女好き彼氏
「ごめんな……玲。
玲を安心させたくて……不器用な俺なりに頑張ったんだ……」
「海哉…」
二人の視線が熱く絡まる。
きっと、この分厚いガラス板なんてなかったら
二人は抱きしめ合っていたに違いない。
それぐらい
二人を見ているだけで熱かった。
まぁ、それはさて置き…
俺は二人の喧嘩を見に来たわけでも
いちゃつくところを見に来たわけでもなくて
俺は二人に気づいてもらうために
大袈裟に咳払いをする。
「ゴホンッ…
で、ところでさ。
結局のところ、海哉は美夜のことなんて
眼中になかったんだな?」
俺はずいっと人差し指を海哉に見せつけるようにして指差した。
そんな俺の人差し指が邪魔みたいに
海哉は顔をしかめてコクリっと頷く。
たった
たったそれだけで
俺の心が少しだけ浮く。
心の重りが少し
溶けた気がした。
「じ、じゃあ、その……なんだ!!
あのだな…い、今から…その……
美夜に会いに行っても文句ねぇんだな!?」
「だから、いいってば」
海哉の顔は迷惑そうにしている。
俺と玲の間に入るなって
そんな感じのことを俺に訴えかけている。
だけど今の俺には
そんな海哉は眼中に入ってなくて
ただ、ただ……
美夜に会いたくなっていた。
「悠雅」
静かになった部屋に玲の声が響く。
俺は名前を呼んだ玲の方を見た。
するとそこには
にっこりと微笑んだ玲がいた。
「美夜を幸せにできるのは
悠雅だけなんだから……
ちゃんと、守ってあげてよね?」
そう言うと玲は一粒涙を流す。
そんなこと
言われなくたって
「わかってるつーの」
そう言って
玲と悠雅にとびっきりの笑顔を浮かべて
この狭い部屋から飛び出した。