満月の夜に逢いましょう
「もしかして…彼女さんですか?」
『いやっ、違います!』
なにいきなし?
アタシは睨まれる視線にアタフタしている。
泣き腫らした赤い目でアキさんとアタシを交互に見てくる。
あきらかに敵意をむき出した瞳に、耳がピクッとした。
「ずるい。…貴方も中村くんのこと好きなんじゃないの?
そうやって近くにいるなんてズルい」
ジリジリと詰め寄ってくる女の子を見て、とっさに危ないと思ったのか、アタシはベンチの後ろに素早く移動した。
それはあまりに軽々とした身のこなしで、隣にいたアキさんは驚いたように目をまんまるとさせている。
しまった…。
やっちゃったな。と思うけど、そんなの後の祭り。
どうにかしてごまかさなきゃ。