満月の夜に逢いましょう
キャーという悲鳴と車のブレーキ音。
チリン…
耳元で鈴の音が鳴った。
タイムリミットだ。
残り少ない力で、アキさんに手を伸ばした。
みすぼらしい黒い手には、赤黒い血が付いている。
「お前…こないだの」
バレちゃったか。
車にひかれそうになったことと、アタシの姿を見て、動揺しているアキさんは静かにアタシの手を握った。
『やっと恩返しできたね…』
不思議と痛みはなかった。
アキさんが引かれなくてよかった。
あの時、アキさんがいなかったら、アタシひかれていたんだから、いまひかれても一緒だよね。
『よかった一一…』
安堵の声を漏らし、目をつぶった。
瞬間、ポタポタと雫が落ちてきた。