満月の夜に逢いましょう
「大丈夫か?」
心配そうにアタシをみる瞳。
この人が助けてくれたんだ…。
『貴方こそ大丈夫ですか?』
アタシはそっと彼のすりむいた手の甲に手を添えた。
痛そうに赤くなって、皮がめくれている。
「アハッ、俺は大丈夫だから」
優しいな、とアタシの頭を軽く撫で、立ち上がった。
パンパン、とズボンに付いた砂を払い落とし、アタシを見下ろした。
それにつられてアタシも立ち上がり、彼を見た。
「次は気をつけろよ!」
笑いながら走っていった彼。
アタシは戸惑いながらお礼を言っていないことに気づいた。
こんなアタシに優しくしてくれたあの人に、
恩返しがしたい。
一一リン…
鈴を鳴らしながら、アタシもその場を立ち去った。