俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
すぐに顔に出てしまうのは、あたしの悪いくせだ。
「龍樹……あいつ、学校にも一度も来てないよ」
「…はい」
知ってる。
知ってるよ…。
学校に来たら、きっとここに来る。
そう思ってあたしは、毎日休みごとに通ったもの。
だけど……。
「君にもなにも言ってないんだ?」
「……はい」
「そっか……」
呟いて、宙を仰ぐ薫さん。
「俺の……推測なんだけどね?」
「え…?」
そのまま、囁くように小さな声で言葉を紡ぎ出す。
「あいつ……帰ってこないつもりなのかもしれない」
「え……!?」
帰って…こない…?
目を見開いて、薫さんを凝視した。