俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

すぐに顔に出てしまうのは、あたしの悪いくせだ。


「龍樹……あいつ、学校にも一度も来てないよ」


「…はい」


知ってる。

知ってるよ…。


学校に来たら、きっとここに来る。

そう思ってあたしは、毎日休みごとに通ったもの。


だけど……。


「君にもなにも言ってないんだ?」


「……はい」


「そっか……」


呟いて、宙を仰ぐ薫さん。


「俺の……推測なんだけどね?」


「え…?」


そのまま、囁くように小さな声で言葉を紡ぎ出す。


「あいつ……帰ってこないつもりなのかもしれない」


「え……!?」


帰って…こない…?


目を見開いて、薫さんを凝視した。


< 222 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop