十字架
「…そのゲームにはいくつか友達はいるんですけど、あるユーザーがなかなか来てくれないんですよ…」

「へぇ…、そうなんだ…。それよりさ!仕事を…」

渡辺の言葉を遮るように秘書はさらに話を続けた。

「その、ユーザーなんですけど…」


「え?…」


「ユーザーさんの名前が…『疾風』っていうんです。疾風とも書くあの漢字です!」

秘書は指で漢字を書いて渡辺に示した。


「へ…へぇ。そうなんだ…」

渡辺にはこれしか言う事が出来なくなり始めていた。

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