Snow Princess ~雪の華~
「…だとよ」

「うるさいっての!」


顔を赤らめ今度こそはちゃんと深呼吸をし、コホンと咳払いした。


「鏡よ鏡よ鏡さん?
お姿見せて下さいな?
そうっと見せて下さいな?
真の姿で誠の心・探しものの手助け下さいな?」

――しばしの沈黙。そして――


「ブッ!」

「ちょっと笑わないでよ! 私だって恥ずかしいのよ!」


こらえきれなかったキーファをリリアが睨んだ。


「だからリリーはいつも普通の言葉じゃなくて魔法に使われる古代語で唱えるんだぜ」


鏡はリリアではなく以前見た姿――灰色のタキシードに目深に被ったシルクハットと長い前髪の姿。相変わらず顔は鼻より下しかわからない――でさらりと言った。


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