蜃気楼。

だけど、そのベテランカメラマンは
戦場の写真を撮りに行きたがっていた。

そして、父さんは始めて訪れた戦場の地で、
戦争に巻き込まれ、その地に自らの血をを染み込ませる事になった。

らしい。
母さんが話してくれたのはこれだけ。
他は何にも知らない。



父さんの事、俺何にも知らなくて、
ふと俺に父さんっていたのかな?って思ったから

無神経にも母さんに俺に父さんっているの?
って聞いたんだ。
そしたら、母さんがメッチャ泣きそうな顔で
なのに無理矢理顔に笑顔を作って
さっきのあの話をしてくれた。

話終えた母さんは
結川のような、今にも泣きそうな
笑顔を浮かべていた。

俺は、母さんに聞いたことを今までにないくらい
すごく後悔した。

謝ろうと思って、チラリと母さんを見ると
母さんは俺をじぃっとみていた。

「あの人は…………計り知れないほどの
優しさと大きさを持った人」

と、呟いた母さんの顔には
あの消えそうな笑顔はなく、
ただ無表情だった。

俺は返す言葉が見つからなくて、
ただただ下を向いていた。

「尽は……あの人にそっくり。」




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