溺愛キング
『や、やー?』


ジリジリと、矢耶に近寄る。


「あ、お…」


ジリジリと、矢耶は後ずさる。

俺の眉がぴくっと動いた瞬間、矢耶に抱きついた。


『やっと、触れる』

「んー、苦しいぃ~」


俺の腕の中にすっぽりと収まってる矢耶。

安心感ハンパない。


「あお?寂しかった?」

『あぁ、拗ねた』

「ふふ、あお、好きです」


ぎゅーって、抱きついてきた矢耶。

え、なんですか、矢耶さん。

告白ですか。

嬉しいんですけど。


「あお、待っててね」

『ん?なんのことだ』

「気にしないで、類さんの話も大したことじゃないし」

『それでもいいから言って。矢耶のことは全部知っとかないと気がすまない』

「もぉ!好きなの!大好きなの!」

『分かったよ、教えてはくれないんだな?』

「だからー、好きなんですぅーあおー」

『…………』


どうしても言いたくないらしい。

好きって連呼されるのはいいけどな。

明日テストだけど、もう、いいか。

なんて、それはだめだな。

矢耶を抱き上げ、ソファーまで連れていく。


『もう聞かない、けど、明日テストなんだから準備しよう、な?』

「あお、ごめんね?ちゃんと教えるから、もうちょっと先だけど」

『はいはい、矢耶のことは信用してるから、そんな泣きそうな顔すんな』


ちゅっと、額にキスをすると矢耶が俺の首に腕を回してきた。


「ベット行こう?もう寝よう」

『そうだな、ちゃんと捕まってろな』

「うん、あお、好き」


たまんねえーーー

ここまで好きって言われると、理性飛びそう。

ずっとこうしてたい。

類さんからの謎の電話も、どうでも良くなった。

今は、ゆっくり矢耶を抱き締めて寝れればそれでいい。

俺って単純。
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