華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「侑希ちゃんってちょっと学校から離れたとこに住んでるんだね。」
嘉が、何事も無かったかのように言った。
「そんなに遠くないわ。」
うん。
私はそう思う。
まあ普通の人とは感覚が違うのかもしれないけど。
車を運転する人はあまり喋らないけど、私の住所を聞いて「遠いっすね」と呟いていた。
そんなに遠いの…?
「じゃあさ〜侑希ってどうやって学校来てんの?」
後部座席の左から李玖が聞いてくる。
楓と近いとうるさいからってことでこの席に座らされて、少し機嫌が悪い。
「歩いて来てるわよ。すぐにつくもの。」
「歩き!?」
そう、口を挟んだのは運転手さん。
どうしたんだろ。
「どうかしました?」
私がそう尋ねると
「あっ…イエ…すいません…」
と謝られた。
そんな運転手さんを見て嘉はクスクス笑っているし、楓と李玖もニヤニヤしてる。
結都はいつのまにか寝ている。
蓮士は…
私の右後ろに座っているから見えない。