華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
それからいつの間にか年が明けた。
蓮もそういう行事には反応を示さないし、楓ももちろんなにも考えていなかった。
ただいつもの平日と同じように三が日を過ごした。
1月のある日。
蓮が楓を夜の街に連れ出した。
「楓も、たまには外の空気吸えば?」
楓は、どうして蓮が笑っているのかが分からなかった。
そう。蓮が珍しく笑っていたのだ。
歩き着いたのは、蓮と出会った公園。
「そこ座ってろよ?」
そう言われ、大人しく草むらにしゃがみ込む。
蓮は楓に背を向けて歩いていく。
そして、やっと姿が捉えられるくらいのところで足を止めた。
すると、三人の男が蓮のところに来た。
「あ……」
何分がのうちに、一対三の喧嘩が始まった。