「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

信じられない気持ちで窓越しに誠さんの顔を見つめているとカチッと音がしたかと思うと、ガチャンと車のドアが開いた。


確か車のドアはまだ鍵がかかったままだったはず。鍵を開けたのはカズくんでドアを開けたのは誠さん…。


「早く行けよう。せっかく会いに来てくれたんじゃないのか?」


早く降りろよと、まるで犬に手でするような仕草をソッポを向いてするカズくんを黙って見つめるあたし。



「ちゃんと正直に言えよ。じゃないと俺がさらうからな」

「えっ!?」


「いいから、早く降りろ」



そう急かすカズくんに言われて車を降りると


「沙織…会いたかった」


そう言ってあたしの腕を掴むと、誠さんはそのままグイッと体を抱き寄せ


「あっー…」



スッポリとあたしの体を包み込む彼の優しくて愛おしいぬくもりに涙がこぼれ落ちた。



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