「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー
ダメだー…泣いちゃダメ…。あたしは誠さんに別れを告げだの。
一方的に最低な振り方をして彼を傷つけたんだよ。
そんなあたしが、誠さんに甘えるなんてー…
「沙織!!」
不意に助手席の窓から顔を覗かせて、名前を呼ぶカズくん。
その声に顔を向けると
いいか。ちゃんと話すんだぞとでも言うような瞳であたしを見つめたあと、何も言わず黙ってカズくんを見てる誠さんに視線を移した。
「赤坂さん。沙織のこと、よろしくお願いします」
そう言って軽く頭を下げるカズくんは、チラリとあたしを見てニカッと口角を上げて微笑むと車を走らせ、暗闇に輝く明るいライトを照らしながら去っていった。