新撰組~変えてやる!!
「…それって…、まずくありませんか!?玄鶴って、あの玄鶴ですよね!?」
「声が大きいです。…まぁ、確かにまずいですよ。刀もなかったので、戦うこともできませんでしたし…」
葵は沖田の方を向き、苦笑いした。沖田は目を丸くしたままだった。
「…士道不覚悟になりますかね…また軟禁状態になるのは嫌だな~…やっと動いても注意されなくなったのに…」
「問題はそこじゃ、ありませんよ!よく生きて帰ってこれたものです!」
葵は驚き、目を丸くした。子供達もその声に驚いたのか、隠れるのをやめて葵達の登っている木を見上げた。
「…そ、“総司郎”さん…?どうかしましたか?皆が驚いていますよ?」
「……あ…と、とりあえず、降りましょうか…こ…、“蒼井”さん。」
葵はピョンと木から飛び降りた。
「もう、お昼になりますね。さぁ、みんな。一旦お家に帰りましょう。お腹、減ったでしょう?」
「うん!また、あとで遊ぼうっ!」
珍しく文句を言わない子供達を不思議に思いながら、葵は子供達を家へと帰した。
「…なんか…あっけなく、帰っちゃいましたね…。」
「そうですね。あ、総隊長。子供達におやつを買いたいんですが、一緒に選んでいただけませんか?」
楠木の言葉に沖田がいち早く反応した。
「私が行きます!さぁ、行きましょう!楠木さん!!」
「えっ…は、はい…」
楠木は沖田に背を押されながら歩いていた。と、突然沖田が振り返り口を動かした。そしてニヤリと悪そうな笑みを残して去って行った。
“任せてください。”
沖田の口は、確かにそう動いた。葵は、屯所に続く道をゆっくりと歩いた。