新撰組~変えてやる!!
しかし、すぐに永倉が間合いを詰め、永倉の木刀が的確に葵の胴に迫り、葵はそれを間一髪で防いだ。
「チッ…やっぱり、こんなんじゃ無理だよな…」
「当たり前。俺を甘く見ないでよ?まぁいい線いってたよ。」
葵は余裕の笑みを浮かべ、永倉の木刀を押し返す力を強めた。
「…随分と余裕ぶってるじゃねぇか。」
「さぁ…ポーカーフェイスも、時には必要でしょ?」
案の定、永倉は首を傾げていたが、小さく呟く程度だった声がしっかりと聞き取れていたかどうかは判断出来ない。けれど、他の事に気を取られた瞬間にできた隙を見逃してやる程、葵も優しくはない。葵は木刀に込めていた力を弱めた。
「う、わわ!?」
力を込め続けていた永倉は、そのまま前につんのめった。その首に木刀をあてる。
「はい、俺の勝ち。試合中に気を抜くなんて、言語道断!真剣持った時は違うからなんて認識じゃ、この組じゃ生きていけないんじゃない?」
「そうだな…気ぃ付けとく。」
葵は呆然としている壁際の隊士に木刀を預け、外へと目を向けた。ぱたぱたと平隊士が1人走ってくる。
「そ、総隊長…ここにおられましたか…あの…、総隊長に会わせろと言っている女が門の所にいるのですが…」
「…女…?」
葵は女性の顔見知りを思い浮かべた。出てくるのは3人だけだったが、思い当たることがあり、葵は知らせてくれた隊士に目を向けた。
「…どうします?追い返しますか?」
「いや…多分、知り合いです。報告、ご苦労様です。」
葵はそれだけ言い残し、颯爽と道場を後にした。
「…やっぱり…」
門に足を運んだ葵は、苦笑しつつその門に佇んでいる女性へと声を掛けた。