神様の暇潰し? 〜 The love story of mask human 〜


 外に出た俺は猫らしく様々な所を走り回った。塀の上や道路脇にある溝、下水道のトンネルなど町内のありとあらゆる場所を巡ったのだ。
 自分の体にも関わらず、人間の時と全く違う感覚というのは言葉に出来ないほど俺の気分を高揚させた。さっきまで部屋で感じていたゼウスに対する怒りは既に消え失せていた。




「ふぅ……」



 三時間ほど走り回った後、俺は近くの公園の草むらで休憩を取った。流石に猫の体とはいえ、ずっと走り回っていれば疲れるらしい。しかし人間ならば一時間も走っていられないだろうから、猫の体には体力があることがわかる。




――本当に猫なんだな〜俺……



 今更ながら激しく実感する。草むらに寝そべって涼しい夜風に当たると、俺の頬に生えているヒゲがゆらゆらと揺れた。




――もう疲れたし、主探しは明日にして今日はもう帰って寝よう。



 不思議な出来事と慣れない体は、気分の高揚と共に激しい疲れも催していた。俺はふらふらとした足取りで家までの家路についた。
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