神様の暇潰し? 〜 The love story of mask human 〜
次の日、俺はベッドで目が覚めた。頭がふらふらして視界がぼやける。
――おかしいな……なんでこんなに体が疲れてるんだ……
身に覚えの無い疲労感。昨日はいつもの通りにずっとこの部屋で寝ていたはずだ。疲労が溜まる訳はない。
――そんなことより学校……いかねぇと。
ベッドから体を起こそうとした時、俺はある体の異変に気が付いた。
「毛……?」
体全体に毛の感覚を感じる。さらに自分の手を見ると自分の手ではない。なんと猫の手だ。
「あっ!!」
ここで俺は昨日のことを全て鮮明に思い出した。
ゼウスに猫に変えられ神様の暇潰しである浄化戦に参加させられること。そして主を探さねばならないこと。昨日は体を慣らすために町中を三時間も走り回っていたことをだ。
「ゼウスの話じゃ、浄化時間の午前六時から午後六時までは人間に戻れるはずじゃなかったのか!?」
ゼウスは俺に十二時間の浄化時間を与えた。その時間は午前六時から午後六時までの十二時間だ。
今は既に午前七時を回っているから時間的に人間に戻れる時間のはずなのだ。
――まさかゼウスが浄化するのを忘れてるだけとかじゃないだろうな……ふざけるなよ!
しかしそうは言ってもどうすることもできない。俺はゼウスのように魔法が使えるわけではないのだ。いくら騒いでも現状が変わることはあり得ない。
「君の質問に答えよう」
突然ドアの方から昨日聞いたゼウスの声が聞こえてきた。俺はとっさに振り返る。
「ゼウス、これはどういうことだよ! 午前六時から午後六時までは人間に戻れるはずじゃなかったのか!?」
「良いか猫よ」
取り乱す俺を前にしても落ち着き払った様子のゼウス。その反応が余計に腹立たしい。