指輪

「遅いよ!もう。」

少し怒ったように美咲が言った。
そして、メンバーにあたしを紹介した。

「友達の中塚優衣ちゃんでーす!みんな仲良くしてあげてね!」

「中塚優衣です。よろしくお願いします。」

そういってメンバーの人たちと挨拶を交わした。
面食いの美咲の友達だけあってみんなモテそうな感じだった。

さっきのことを思い出すと、とても飲みに行くような気分じゃなかった。
だけど、今日は飲んで忘れよう、そう思った。

さっきので分かったのは、やっぱり琢磨の中では終わってた。
そう、それだけ。
だからあたしもそろそろ、忘れる準備をしなくちゃいけない。

メンバーの人たちはみんなであたしのことを可愛いと褒めてくれた。
それがあまりにも大きい声だったから、少し恥ずかしかった。

そして、あたしはメンバーの人の一人、杉下くんに手を引かれて居酒屋へ向かった。


琢磨がこちらを見ているとも知らないで。
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