青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
日賀野達が出てくるんじゃないかと抱く畏怖はバイク組の到着により霧散する。
バイクを降りるや否や、男共は険しい面持ちでヨウに視線を送った。
チャリを降りたヨウは「俺が先陣を切る」喧嘩できる面子は前に、出来ない面子は後から続くように指示。
その際、最後尾は喧嘩できるキヨタが受け持つよう言う。
もし背後から攻められたりしたら、と最悪の事態を想定しているんだろう。
浅倉さん達は出入り口を見張ってくれるみたいだ。
援軍を呼ばれた時に供えてくれている。
ちなみに喧嘩できない女子組は此処で待機。
まずは俺達が中に入って、時間を置いてから中に入って来てもらうスタイルにしてもらった。
「気を付けてね」
弥生はあの女がいたら、自分が仕留めるからと握り拳を作って熱弁。
一方でココロはチャリを壁際に立て掛けている俺に視線を投げて軽く顔を顰めたけど、一変して笑みを無理やり作ってみせた。
「ケイさんは弱くないですから大丈夫です。なんと言っても私を助けてくれたヒーローですから…、少し経ったら私も行くので」
「うん、ココロも弱くないから大丈夫だよ。古渡がいたとしても、ココロなら大丈夫。なんと言っても、あー……俺の彼女だから」
く、くそう。
俺が言うと似合わない。
本当はカッコ良く「俺のオンナだから大丈夫さベイベ」とか言ってみたかったけど、あまりにも似合わないんで自重しておく。顔から火が出そうだしな。
だけど気持ちはココロに伝わったみたいだ。柔和にはにかんでくる。
彼女に気持ちが伝わった時点でクサイ台詞を吐いた俺の減点要素が掻き消えた気がした。
大丈夫、ココロは弱くない。
そう俺は信じているから。
閑話休題、ヨウ達が階段を下り始めた。
慌てて俺も後を追って階段を下りる。
一段一段下りる度に、地上の光が薄くなっている地下への階段。
薄暗さが俺の恐怖を駆り立てるんだけど、心積もりもする間もなくヨウは扉を蹴り開けた。
カックイイぜ兄貴。マジでアクション俳優になれそう! ……阿呆なことを思っている場合じゃない。
蹴りを合図に俺達は一気に中に攻め込んだ。
室内は俺達のたむろっている倉庫とは大違い。
ソファーやら、カウンターやら、なんか居心地良さそうな空間になっている。豪華っつーの?
さすがバー店だ。
お前等はこんなところをたむろ場にしていたのかよ。贅沢者たちめ!
バイクのエンジン音で俺等の到着に気付いていたのか、部屋の向こうにいた日賀野達はさほど驚く素振りも見せなかった。
面子は揃っているカンジ。
負傷したと聞いた魚住も、副頭の斎藤も、ホシも(頭に包帯……怪我をしているのか?)、帆奈美さんも、イカバ(サブと呼ばれていた男)も、アズミ(乙女ゲー好きな不良)も、それから見たことのない不良さんやら(双子? 同じ顔が二つあるぞ)、顔なじみの健太もいた。
寧ろ、「来たか」にやりと大将が口角をつり上げて吸っていた煙草を捨てて余裕を見せる始末。
「ヤマト。テメェよくも奇襲を、ハジメを」
ヨウの憤りは日賀野の冷笑で一蹴される。
せせら笑いがお似合いの向こう大将は、腰を上げる自分のチームメートに移動を指示。狭い空間でドンパチしても面白くない。
それにゲームは始まったばかり、此処で決着をつけるのは勿体無い。
「最高のショーにしようじゃねえか? なあ、荒川」
「ヤマトっ、そーやっていつも俺等の神経を逆立てる……ざけんな!」
日賀野は何を目論んでいるのだろう。余裕綽々だ。