青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
だけど奴の言うゲームにお付き合いするほど俺等もお人好しじゃないから、向こうが動く前に「させるか!」ヨウが真っ直ぐ親玉へ。
俺等も床を蹴って室内に散らばる。
俺は言うまでもなく、真っ直ぐ友達だと思っている男の前に回った。
舌を鳴らしてくる男、健太は俺に挨拶もなく拳を振ってきた。
随分なご挨拶だな健太!
軽くしゃがんで拳を避ける俺を尻目に、健太は闘う気がないのか、さっさと奥の通路を目指す。
おいおいおい、ちょっと興ざめしちまうだろ? なんで逃げるんだ?
他の奴等も攻撃は仕掛けるけど仕掛けたまんま、アズミは開始早々そそくさと奥の通路に逃げて行く。
……そうか、最奥には外へと続く勝手口があるんだ。
地下のバーは俺等が入って来た入り口一本だけじゃなく、もう一本、店専用の勝手口がある。
だから奥の通路に行く。
俺の憶測だけどこの地下のバーは住宅街に近い。
勝手口から出たら入り組んだ住宅街に容易に紛れ込める。
嗚呼クソっ、やばいじゃん、それ!
「ヨウ、奥の通路に行かせるな! 逃げられるぞ! 住宅街に逃げ込まれたら厄介だ! 此処の地形は入り組んでて身を隠しやすいぞ!」
「ほぉ、さすがはプレインボーイ。分かってらっしゃる」
いや、褒められても嬉しくッ、うわっち!
助言を飛ばすと同時に飛んでくる拳。
地味の反射神経も捨てたもんじゃない。
どうにかソファーの向こうへとジャンプして避ける。
俺に拳を向けてきたのは双子不良さん方。
紅白饅頭みたいな髪の色しやがって……どっちも男。
えーっとどなた様? 初対面ですよね、俺等。
「あっちゃん、これが荒川の舎弟なんだって。やっちゃおうか?」
紅白饅頭の紅の不良がニッコニコと物騒なことを吐き、
「ゆっちゃん、これが荒川の舎弟みてぇだな。やっちまうか?」
紅白饅頭の白の不良が満面の笑顔で俺に拳を振り下ろしてきやがった。
なんだお前等、揃いも揃って無邪気で残酷い笑顔作りやがって! まずは名乗れ! 心中のツッコミがボロッと口に出る。
やっちまったと思うけど、二人は律儀に名乗ってくれた。
紅白饅頭不良のお名前、紅不良が玉城 愛海(たましろ あいみ)で白不良が玉城 勇気(たましろ ゆうき)だそうな。
「僕とゆっちゃんが揃えばオトモダチフレーズが成立! だって愛と勇気だけがお友達って歌のフレーズがあるもんね?」
「おうよ、あっちゃんとオレがいれば、オトモダチフレーズが成立だぜ」
そうさ愛と勇気だけがお友達……まさか漫才コンビじゃないよな、お前等。
確かに俺もそのフレーズ知っているぜ?
そのフレーズを聞く度に、『愛と勇気だけしかオトモダチいないのかよ!』とか思った。
空飛ぶアンパンヒーローは孤独な戦士だぜ、とか若かりし頃は思ったぞ。
カレーパンヒーローや食パンヒーローはオトモダチじゃないのかよ、とか疑念も抱いたぜ……馬鹿を思っている場合じゃない!
揃って攻撃を仕掛けてくる双子不良に俺は逃げ惑う。二人相手とか無理だ。
しかもなんかあいつ等の攻撃にキレがある。素人の拳とは思えない。
キヨタみたいに何か習っていたんじゃ「ホワチョー!」双子不良の攻撃の魔の手から救ってくれたのは、噂をすればキヨタだった。
俺の弟分! ナイス過ぎる!
紅不良と白不良を交互に蹴りを飛ばし、シャッキーンと可憐に着地するキヨタは玉城兄弟交互に指差す。