青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―




「さっきから黙って聞いてりゃ、勝手に面白そうなゲームを作り上げているじゃねえか。俺も加担させろって」


「お、おいヤマト?」


ニヒルに笑うヤマトに何やらヤーな予感である。


「条件が何だって? どうせ俺等両方潰すくせに、ナニ似非偽善行為に走ってくれているんだよ」


鼻で笑うヤマトは帆奈美にも、

「お前もお前だ」

ナニ馬鹿な事を言っているのだと呆れ返った。



「クダラネェことばっか言いやがって。毎度の如くメンドクセェ女だな。

テメェがそんなに軽い女だったら、こっちは苦労してねぇっつーんだ。
軽々しい女を演じてぇなら、まずその情けないツラをどうにかするんだな。

毎度のことながら偽悪が超下手だぜ、帆奈美。
偽悪ぶるならぶるでそれなりの演技力を身に付けて来い。


つまりテメェは嘘が下手くそな女だってことだ。

ちったぁ自覚しろ阿呆が。いつもそうだ。
平然と偽悪ぶっているつもりで、内心は自分が傷付いてきずついて……メンドクセェ女。クダラネェことばっか言うメンドクセェ女だお前は。

おっと帆奈美、いかにも違うってツラしているんじゃねえよ馬鹿。
世話ばっか掛けさせる女だな。本当は誰よりも好きな男には一途なくせにな……まあ、馬鹿は俺もか」


自嘲を零し、青メッシュ不良は高らかに宣言した




「五十嵐。こんな小細工ゲームじゃ、俺等は止められねぇよ。勝つ気でいられると思うな――勝つのは俺等だ」




シニカルに笑い、コンマ単位で踵返すと、「俺の分は取っとけよ」ヨウの肩を叩いて駆け出す。



「おいヤマト!」



振り返って声音を張るヨウに構わず、また舌を鳴らす五十嵐が無慈悲にライターの火を点け、向こうへと投げ放ったことも目に留まらせず、ヤマトは人質の方に向かって駆けた。


全力疾走で人質の下に向かったのは、喧嘩にも優先順位があるため。

自分達は人質奪還を含む喧嘩の勝利を目的しているのだ。


人質がヤラれてしまっては無意味なこと極まりないではないか。


「この阿呆! 相談してから突っ走れ!」


青メッシュの入った黒髪を靡かせ、一心不乱に駆ける好敵手(ライバル)にヨウは馬鹿だと顔を歪ませる。


「美味い場面取って行くんじゃねえよ」


悪態をつき、ヤマトの今後の行動に懸念を抱きながら自分を地を蹴る。

向かうは無論、この喧嘩とクダラナイゲームの首謀者だ。


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