ひとかけらの恋
私はそう言ってごまかそうと、ポロシャツの袖で目をゴシゴシとこする。



ポロッ……、ポロッ……。



あれ………?どうして…?



こすってもこすっても、涙が流れてくる。



「おっ、おい!俺嫌なこと言った?」



「ち…、ちがう。翔には……、わかんないよ…。」



「えっ?俺にはわからないって?」



翔は不思議そうな顔で見ている。
心配してくれて聞いてくれるのはすごく嬉しいよ…。でもね…今は翔と一緒にいると、悲しくなっちゃうんだ…。



「ご、ごめんね…。用事思い出したから帰るね…。」



「…美晴?」



私は翔の言っていることは、聞こえなかった。


ただ鞄を持って、ひたすら翔から逃げるように走り出した。


階段を降りて職員室に入り、鍵を返して昇降口に向かう。


靴を履いて外に出ると、雪がまだ少し降っていた。





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