ひとかけらの恋
時々吹いてくる風が、少し暖かくなってきた。


あの日から、私は翔を避けてきた…。


いきなり泣き出した末に、さっさと帰ってしまったのが、なんだか気まずい…。


絶対変に思われたよね…。



「はぁ…。」



「美晴、ため息つくと幸せ逃げちゃうよ?」


机に頬杖をつきながら、ボーッとしていた私を見た咲がひょっこりと現われた。



「そうだったね。あれ?みんなと廊下で喋ってなかったっけ?」



「うん。喋ってたけど、美晴が一人で座ってたからこっちに来たんだ!でもさ…、どうしたの?ボーッとして。」



「ううん。何でもないよ!ちょっと眠たかっただけ。」



ありがとう、咲…。
心配かけたくないんだ…。ウソついたけど、ゴメンね…。



「そっか。ならいいんだ!最近あったかいもんねー!」



そう言いながら咲は、陽のあたっている窓越しに寄っていった。





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