君想論 〜2人のサヤカ〜
―図書室―
オレの通っているこの学校は、学業は勿論のことながら、他校と比べると部活動の方に力を入れている傾向がある。
入学時にスポーツ推薦枠も設けられている程で、この学校の生徒らは放課後になると、そのほとんどが部活動に行ってしまう。
故に放課後に図書室に用がある生徒があまりいないのである。
一応、[図書委員会]ってのが存在するのだが、名ばかりの委員会であって、活動していない生徒が大半を占める。
オレが密談の場所をここにした理由はそこにあるのだ。
実際に足を運んで見れば、酷く閑散としており、少なくとも今現在オレの視界に映る範囲では生徒は1人もいなかった。
受付カウンターにも誰もいなく、挙げ句、[本の貸し出し手順]なるものが壁に貼り付けられており、もはや「借りたい本があるなら勝手にやってくれ」と言わんばかりのスタイルだ。
桐野くんも図書室に来た回数は二桁に満たないほどであったが、あまりの過疎率に多少面喰らった。
これじゃ、秘密のお喋りをするにも、静か過ぎて逆に目立ってしまうのではなかろうか……??
とは言え、放課後になると屋上を使う部活動もあるため、一番人が少なくなる場所はここくらいしかないのだから仕方がない。
「よし……」
[梧 清花]を探すとするか。
この様子だと、図書室の一番隅にあるスペースに居やがるんだろう。
オレは閑散する図書室に足音を響かせながら奥へと進んだ。