君想論 〜2人のサヤカ〜


オレよりも背丈のある本棚達が並んでいる。

端っこを倒したらドミノ式に全て倒れるんじゃないかという、面白そうでいて結構シャレにならんことを思い浮かべつつ、それらを全て素通りして奥へと歩を進める。

5、6層の本棚の層をやり過ごすと、長机が並ぶ視界が開けた空間に辿り着いた。

ここが所謂、読書スペース。

大抵の生徒達が、ここで読書に耽ったり、勉強に勤しんだりするのだが、来客数の少ないこの図書室にはやや金の無駄遣いぶりが垣間見える無駄空間である。

[梧 清花]がいるとしたら此処だ。


辺りを見渡してみると、やはり予想通り彼女は隅っこにあるスペースを陣取っていた。

目が合うや否や、「来んのが遅ぇーだよ」っという具合の不機嫌オーラで睨んでくる。

そろそろコイツの威嚇攻撃にも慣れてきた頃合いなので、あまり相手にせず[梧 清花]の下に向かう。


「遅ぇーよ」

「はいはい、失礼しやした」


適当に会話を交えて、いざ[梧 清花]の対面の席に歩を進めたが……


(はぁ……!!??)


問題が発生していた。

具体的に言うと、これから誰にも聞かれたくない内緒話をするには削ぐわない事項が、桐野くんの目に飛び込んだのだ。


「……おい、梧……」

「んだよ……??」

「…………それ、誰……??」


オレが指差すのは、[梧 清花]がふんぞり返って座る席の3つくらい隣の席。

まさにこの場に削ぐわない部外者がそこに居たのだ。


「知らねぇーよ。あたしが来る前からこの状態だ」

「いやいやいや……」


お前、本当に“密談”をする気あんのかえ……??

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