君想論 〜2人のサヤカ〜
[梧 清花]の3つ隣の席。
そこには一人の生徒が存在していた。
まぁ、桐野くん的にはこの生徒の身体的特徴を読者諸君にもお伝えするべきなのだが、不甲斐ない……あんまり伝えられそうにない。
ただ1つだけ。
その生徒は寝ていたのだ。
「……………」
机に顔を伏して、面白いことに本を開けた状態で後頭部にポンと乗せて、気持ち良さそうに眠りについている。
そこから読書中に寝落ちしたというよりは、最初から寝るつもりでここに座ったのだと読める。
……とりあえず、起こさないように小声で、
「(お前、このシチュエーションで内緒話するつもりなのか……??)」
「別に良いだろぉ……寝てんだから……」
不用心だなぁー……と感じるのは決してオレだけに留まらんだろう。
オレは[梧 清花]と机を挟んで向かい側の席に座ると同時に、眠れる生徒の方にチラッと視線を泳がせてみた。
見たところ、本当に寝ているようだが……
(……おや……??)
机に伏しているので横顔しか見えなかったが……
(あらあら、なかなか可愛い顔してるじゃないか……)
椎名ちゃん程ではないが、コイツはなかなかオレ好みの顔立ちをしている。
どうも最近、桐野くんは可愛い女の子との遭遇率が高い。
是非とも、機会があればこの娘とも仲良くなってみたいものだ。
……などと、一瞬血迷った桐野くんを誰か殺して欲しい。
(ぐっ……!!??)
不意に、本当に不意に眠れる生徒の下半身が見えた。
決ッしてパンツ見ようと屈んだワケではない。遺憾である。
(ズボンかよッ!!??)
コイツ、男じゃねーか!!!!
危ない危ない、あとちょっとオレのアイデンティティが間違った方向に向かうところだった。
桐野くんは野郎に興味などないわ!!!!ふんっ
と、眠れる[少年A](仮名)に対する興味がガクッと落ちたところで、今度こそ[梧 清花]と向き合った。
「それで、話って何だよ……??」
後の話を語ろう。
もしオレがこの時、この[少年A]を女子と勘違いしたまま、道誤って口説き文句などを垂れてしまったのなら……
オレは人生をやり直したくなる位の悲惨な目に遭っただろう。
恥をかくとか、そんな生温い話ではなく、もっともっと実害が被るような目にな……
・・
コレに関しては、後々、嫌でもじっくり語らねばならなくなるから読者諸君も覚悟して欲しい――………