チャンピオン【完】
... お兄ちゃん頑張って!!
私は目に涙をため、記者さんたちの一番後ろでそんな兄貴を見守っていた。
しかしその時の私に、ひとつだけ疑問が湧いていた。
ムサい男だらけのうちの団体に、あの衣装を着られる女子レスラーなんていたっけ?
彼等と一緒にここで生活しているとは言え、プロレスに一縷の興味もない私。
さっぱり見当がつかなかった。
『それで、そのセーラー戦士と言うのは...
本日お披露目はあるのですか?』
でも、衣装そこにあるじゃん?
総革でオーダーメイドしたら、25万円もしたのだと兄貴が鼻息荒くしていた。
これが2着は、我が団体用意なんてできないでしょう。
「戦士は月からやってくるので、本日は間にあいませんでした... お披露目は試合当日になります... 」
やっぱりね。
なんとなく尻すぼみになりそうな会見が終わろうとしている。
「最後に、貴丸が一発芸やりますので、カメラさんどうぞ... 」