灰色の羽
チャーは口いっぱいに詰め込んでいたものを水で流しこんで、


「昨日さ、雨降ってたじゃん?まぁ今日もだけど。それで昨日おれバイトだったから向かってたんだ、結局行ってないみたいなもんだけど。それでさ…」


語り出したのはいいのだけど、バカの話は余計な事を多く入れるからなかなか進まない。


要約するとこうだ。


昨日バイト行く途中でコンビニに入り、そこで傘を盗まれたらしい。

なので仕方なくバイト場まで走って行くことにしたのだけれど、


「近道しようとして、スーパーの脇道あるじゃん?あの舗装されてないとこ。そこ通ったらまいったよ、靴泥だらけになるしさ。それで…」


それで、その道で水溜まりを避けながら歩いていると、


「さすがに雨がきびしくなってきたから、雨宿りしようかと思ってさ。ほら、あの道の途中にでかい家あるじゃん?なんかすげー和風の?その家の玄関とこ門みたいになってて屋根ついてるんだ。だから…」


だからそこで雨宿りをしようと思ったらしい。


「そしたら、この子がいた。」


と少女を指差した。

はぁ、


なぜバカの話は余計な事を言う割に、肝心な部分を飛ばすのか。
まったく理解に苦しむ。


「チャー、そのらへんもうちょい詳しく教えて。」

パトが言わなければ私は殴っていた。


「えー?詳しくって言われてもなぁ。その門の所でこの子が座ってたからおれもそこに入ったんだ。で、なんとなく話掛けてみたんだけど…」


案の定、なにも答えてくれなかったらしい。

小さな女の子がひとりで雨宿り、さらにまだ冷える時期だというのにワンピース一枚でしかも泥だらけ、ときたらさすがのバカでもおかしいと思ったそうだ。


「しかもすげー震えてるじゃん?びしょ濡れだし靴も履いてないし。これはやばいかもーと思ってさ、とりあえず誰かに電話しようかと携帯だしたらバイトまで時間なくなっててさ!あれは焦ったよ。」
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