クロス
「・・・お前が、本気でこの道に進みたいのなら、お父さんは何も言わない」
と、お父さん。
「あんた、家からは援助できないからね?
自分で決めたんだからちゃんとやりなさいよ」
と、お母さん。

あたしは拍子抜けした。
と、同時に、目の下が熱くじんわりしてきた。

やっぱりあたしの両親は最高だ。


あたしの本気度。
大学の事。
専門学校の費用。
あたしの思い、etc。

この日を前にして、あたしは何度も何度もイメージトレーニングをしていた。ネイリストにする為に、美大の付属に入学させたわけではないだろうし(当たり前だ)、あたしだって、つい半年前までは美術関係の仕事に就くものだと、なんとなく考えていたし。

でも本当に、もうウズウズしてしょうがない位やってみたい事を見つけてしまった。ここで諦めて、(あの時、諦めなければよかった)なんて考える自分を想像しただけで、鳥肌が立つ。



< 5 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop