噛みつくようなキスをして
「あ、もしかして、先見隊の…」
しかし、小さく独り言のように呟く少女の言葉に、今度は青年が目を見開く番だった。
確かに、彼は先見隊としてこの地にやってきた人間だが、今の彼は古びたマントに身を隠し、服装は見えないはずである。
だが、目の前の少女は自分の姿を見た瞬間に青年の正体を言い当てた。
それが彼にはとてつもない驚きだったのだ。
「お前、村の女か?名は何と言う?」
それ以上何も話さない少女に青年が尋ねるが、彼女はその言葉に顔をしかめる。
そして、一通り彼を睨み付けると、おもむろに口を開いた。
「……このような場合、殿方が先に名乗るのが筋では?」
いかにも不機嫌そうな表情で答える彼女。
そして、対する青年は意外過ぎるその言葉に声を失っていた。