噛みつくようなキスをして
しかし、少女が礼を言った途端、青年は片眉を上げてわざとらしく呟く。
「ほぉ、そんな礼儀正しい挨拶も出来るのか。」
そして、再び笑いを堪え切れずにクスクスと笑う青年の姿に、少女はみるみる顔を真っ赤にさせて「だから、笑わないでと言ってるでしょう!」と叫ぶ。
だが、笑いというものはそう簡単に引っ込むものではない。
暫くしてやっとそれが収まったかと思うと、青年は目尻の涙を拭いながら思い出したように笑顔を作って自己紹介を始めた。
「――あぁ、そうそう。俺の名前はラクティス。一応、陛下直属の騎士だ。んで、こっちが愛馬のロズンジな。」
ポンポンと愛馬の腰を軽く叩きながら、ラクティスと名乗った青年はとびっきりの笑顔を見せる。
しかし、少女はその言葉を聞いた瞬間、顔をサァッと青ざめさせ、恐る恐るラクティスを指差した。
「へ、陛下直属の騎士…?」