さよならさえも、下手だった
音都:愛した者と愛された者


突き刺すような殺気に後ろを振り向けばあの人がいて。

恐怖で全身が震えて。
逃げられなかった。

銀色の刃が迫ってくる。


死ぬの?


やっと生きたいと思ったのに。
今さらになって、こんな。




「やめろ!!!」

弾けた叫び。
目の前に立ちはだかった広い背中。


ただ、目を見開くことしかできなくて。




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