さよならさえも、下手だった
夜十が傷口を抑えながらよろよろと立ちあがる。
「ああ。俺、殺し屋を辞めるよ」
言いながら私と目を合わせる。
視線が絡み合う。
初めて夜十が笑った。
それは笑顔のうちには入らないかもしれないほどささやかだったけれど、私にとってはそれで十分だった。
「まったく、刹那の言うとおりだ。
音都。…愛してる」
いろんな情報が一度に入って来て、頭で整理しきれない。
これは一体、どういうこと?
「こいつと一緒にいれるなら、殺し屋なんて辞めてやる。
もともと俺には向いてなかった。刹那を殺すために生きてきたけど無理だった」
「お前に殺されてなどやるものか。
早く行け。役立たずがこれ以上いても困るだけだ」
「そうだな。…ありがとう」
そうして彼は刹那に背を向けて去って行った。
私の手を握りしめて。