さよならさえも、下手だった
一連の流れはあまりに突然で急速で、私はどうすればいいのかわからなかった。
とにかく出てきた言葉は。
「好き」
夜十がきょとんとした顔で私を見る。
今までに見たことがないほど緩んだ表情だった。
新しい表情を見つけるたび、思いが募る。
「夜十、好き」
もっと見て。
離さないで。
気がつけば私の中で夜十への気持ちは、手がつけられないほど大きくなっていた。
「大好き」
夜十が笑うから私も笑う。
これ以上幸せなことなんて、この世にあるだろうか。
欲しかったもの、心から信用できる存在。
ここにあった。
あなたに逢えた。
「愛してる」