屍都市
「く…みんな…!」

声を詰まらせ、純は後ずさる。

何て事だろう。

無事にみんな逃げおおせたと思っていたのに。

荒くれで、腕っぷしが強くて、頼りになって。

男らしい連中ばかりだったあの仲間達でさえ、ゾンビには敵わなかったっていうの?

目頭が熱くなるのを堪えながら、純は両手でスコップを握り締めた。

センチになっている暇はない。

気持ちをすぐさま切り替える。

ここで泣いていても、目の前の仲間達はもう叱咤しても激励してもくれない。

ただ無言のままにじり寄ってきて、首筋に歯を突き立てて肉を食い千切るだけなのだ。

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