とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「...忍全然濡れてないな...」
「まだ海入ってないもん。....え!?」
俺はニヤリと笑ってタオルを投げると忍を担いで海に放り投げた。
「みんなで入っちゃえ~~!」
結局他のやつらも担がれて8人全員ずぶ濡れになった。
笑いながら戻っていく皆の後ろで忍はやっと立ち上がった。
俺は笑いながら忍を引っ張りあげると、そのまま抱き寄せた。
「ぷっ・・・髪の毛張り付いてる」
そっと指で髪の毛を整えてやり、そのまま顎を上に向かせてキスをした。
「ちょっ!恥ずかしいからぁ!」
「見てない、見てない」
そういって強引にまた唇を奪うと砂浜の方から「ひゅ~ひゅ~!」と言う声が聞こえた。
「見られてるじゃないの!!!!」
「クククク...」
真っ赤になって怒る忍の手を笑いながら引っ張って戻った。
勝敗はわからなかったが、虎太郎と寛二がカキ氷を買いに行ったみたいだった。
ひとしきり暴れて疲れた俺はシートの上に寝転んだ。
そんな俺を見て女性陣は「ホント意外!」というのが聞こえた。
「右京くんは忍の前だと全然違うのね~」
「軽そうに見えるのに、実は忍にベタ惚れだし!」
「...失礼だな...俺はずっと忍一筋だぜ?」
「確かにウリ坊、学校でも女の噂全くなかったな~」
「忍、愛されてるのね~“浮気”の心配なんてないじゃないの!」
「はっ...恥ずかしいから止めてよぉ!!」
俺は起き上がると後ろから忍に抱きついた。
「忍、かわいい」
「...右京くんも充分かわいい...」
そんな俺の行動にも、もう誰も驚かなかった。