とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
その後カキ氷を買いに行ったはずの虎太郎と寛二は、なぜか焼きそばやらホットドックやらまで買って帰ってきた。
「騒いでたらお腹もすいちゃったんだよ~」
「...肝心なカキ氷2つしかないじゃない...」
「しゃーねぇーな。アイコ買いに行くぞ~」
と陸とアイコは海の家にふたりで行ってしまった。
俺はカキ氷1つ受け取ると忍と食べながら、隣で仲良く焼きそばを食べている寛二とクミを見た。
「な...なんだよ。」
「うまそうだな。」
「ダメよ!これは私と寛二のだからね!?」
「...しのぶぅ...」
カキ氷のスプーンをくわえながら忍を見ると、「食べ終わったらね?」と言われた。
「...?...」
ふと忍が辺りを見回す。
「どうした?」
「う~ん...気のせいかな?
誰かに見られてる気がしたの。」
視線なんかさっきから感じるためさほど気にならなかった。
「散々いちゃついたからな」
ニヤっと笑って忍を見ると「そうね」と溜め息をついた。
「俺達も何か買いに行って来るよ」
虎太郎たちにそう言うと忍と一緒に海の家に向かって歩き出した。
「...忍。さっきごめんな」
「ん?なんの事?」
「水着の事。忍に八つ当たりした。」
「ふふっ...気にしてないよ。いつもの事じゃない。」
ニッコリ笑う忍が可愛かった。
腰に手を回して自分の方に引寄せるとちょっと屈んで耳元に顔を近づけた。
「水着、似合ってるよ。すげーかわいい」
ちょっと頬を染めて照れる忍のこめかみに歩きながらキスを落とした。
「...見られてる...」
「だろうな」
忍はブンブンと首を振った。
「...そうじゃない、見られてるのよ!」