とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
店内に戻るとカウンター内の潤は驚くべき早さで、且つ完璧な動作で任務をこなしていた。
「人間らしくって言ったのに...」
頭を抱える俺と隣で「目立ってるな...」と呟くガク。
カウンターに座る陸は俺に気付いて手を振った。
「コイツ右京の知り合いなんだって?」
「まぁな。」
「観察してたんだけど、可愛い顔してすげぇな!」
「・・・」
俺が半眼で見つめていると潤が微笑んだ。
それを見た周りのギャラリーがぽぉ~っとなった。
おいおい...勘弁してくれ...
「潤、もういいぞ。代わるから。」
「もういいので?」
ちょっと残念そうな表情の潤を見て俺は苦笑した。
「ありがとな」と言って頭を撫でてやると、ぱぁっと顔を輝かせた。
「う...右京さま!!」
潤は俺の胸に飛び込むと「光栄です!」と言った。
「...なぁ右京。それ男だよな?」
「...男だな...」
「...すげぇ可愛いのな...」
俺の服を握り締めて離れない潤を、なぜか羨ましそうに陸は見ていた。
「右京様」
「...なんだ?」
「非常事態です。」
急に真顔になり俺を見上げた。
俺はそれに気付いて「行け」と短く言った。
潤は頷くと人込みに消えていった。
「あれ?潤ちゃんどこぉ~?」
目で潤を追っていた陸は「見失った...」とがっかりしていた。
俺はガクに向き直ると真顔になった。
「非常事態らしい。あがる」
「早く行け。あとはジンヤに任せるから」
そう言われて俺は飛び出した。