とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
その日彼は付き合い始めた彼女と駅で待ち合わせをし、遠出をする予定だった。
待ち合わせをして、国道を走っているときにそれは起きた。
丁度30分程走った時、何かがバンッ!と右横に当たった気がしたらしい。
気が付くと10m近く離れたところに倒れており、視界の先に大敗したバイクがあった。
「…居たんですよ…彼女が…
本当に居たんです!
…大敗したバイクの側に立つ彼女が…」
病室で目覚めて、一緒に居た彼女の安否を聞いた。
だが、運ばれたのは自分ひとりだったと言われて混乱したそうだ。
「よく考えたらおかしいですよね…
大敗したバイクの側で立ち尽くしていたんですから…」
「普通に考えたら一緒に乗ってたら怪我してるはずだ…」
やはり“幻覚”か…?
「…どこですか?事故った場所って…」
「国道を北に向かって…
県境の交差点を過ぎたところだ。」
「わかりました。
俺確認してきますよ。」
そう言った俺にサブローは驚いた表情になった。
「…信じて…くれるのか?」
「sevenの人達は現実主義ばっかですからね。
ウソをついたりしてるとは思えない。」
そう言って微笑むとサブローはボロボロ涙を零した。
「でも何もないかもしれないので期待しないで下さいよ?」
「…それでもいいよ…
もし何もなかったら…
事実を受け入れるさ…」
いつもの元気なDJではなく、ただの弱ったその男は俯いてそう言った。