とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
忍がいつもより早めに出かけると、道場の門下生の稽古を師範に頼まれた。
黒崎古武道場ではよくある事で、だいたい決まって師範が楽したい時だ。
おそらく夜の飲み会に備えてだろう。
俺はだいふ伸びてきた前髪を軽く結いて道場に向かった。
休日の午前中は小中学生の指導がメインになっていて、「右京せんせー」と俺を呼ぶ門下生に取り囲まれた。
門下生に大しては鬱陶しさを感じない。
むしろ可愛くてつい甘やかしてしまう。
「右京せんせー!わたしうまくなったって師範に褒められたんだよー」
「頑張ってる証拠だな。稽古が楽しみだよ。」
そう言ってまだ幼い少女の頭を撫でた。
「オレもこのユタカに勝ったんだぜ!」
「セイヤがか?しばらく見ない間に上達したんだな!
あとで俺と手合わせしてみるか?」
「マジ!?やったぁ!」
「ずりー!右京先生、俺も~!」
まとわり付いて来る門下生を持っていた木刀で軽く小突いて黙らせると整列させた。
それから師範の「準備運動しとくんじゃぞ」と言う言葉に彼らは元気に返事をして従った。
「右京、子供達もあぁ言ってる事じゃし手合わせしてやれ。」
「そうだな。じゃあ最年長のタカユキとかな~…」
「アイツは強くなったぞ?
油断してたら痛い目みるぞ」
昔は良く泣いていたタカユキが!?
滅多に門下生を褒めない師範がそう言うのだから本当に強くなったんだろう。
上達ぶりを楽しみにしながら門下生の様子をながめた。