とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
覚えた形を確認するように木刀を振る横顔は真剣で、俺が入っても気付かなかった。
しばらく入り口にもたれてその様子に見入った。
うっすらと汗の光る額…
一太刀ごとに揺れる髪…
凛とした横顔…
その姿があまりにも綺麗で目が離せなかった。
しばらくすると振り向いた忍と目が合った。
「…ビックリした…いつからいたの?」
「ちょっと前から。」
「もう!声かけてよ…」
肩で息をつきながら忍は可愛らしく口を尖らせた。
近付いて忍の手から木刀を奪うと真似して俺も口を尖らせてみた。
「こんな時間に一人で何やってんだよ。」
「寝付けなかったから…気分転換…かな?」
「こんなに熱中すると思わなかった。」
「今日は右京が居なかったから、おじいちゃんに教わったの。」
そう言いながら少し目を輝かせた。
「いいことあったの?」
「筋がいいって誉められた!」
「だろうな。確かに飲み込みが早い。」
「ホント!?」
「あぁ。…でも夜中は危ない。
もし誰か入って来たらどうすんだ?」
「あら、それはそれで好都合よ?
練習相手になるもの!」
確かに今の忍なら大抵の奴なら心配要らないかもしれない。
でもまだ大丈夫と言えるレベルではなかった。