【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
ヤスは兄貴に、美しく高飛車な顔で微笑むと、キーをぷらぷらと揺らす。



「たまには気が利くじゃん?」



「たまにじゃなくて、いつもじゃね?」



本当に、二人のやり取りを聞いていると仲が良いな、と思う。



ぼやーっとしていると、私はヤスにガチっと二の腕を掴まれる。



「行くよ、アスカ。」



「え!?ちょ、まっ!」



そして、私の返事を待つことなくヤスは小走りに動き出す。



「あんまり虐めてやんなよー。」



後ろから、兄貴のそんな見送りの声が聞こえた。
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