【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
男顔なのをごまかしてくれていた髪の毛が、ハラリ、ハラリと落ちていく。



短くなり、梳いて減った髪の毛は毛先が数ミリ肩にかかる程度の長さになった。



「うん。いい感じ。」



満足そうに笑う野々村さんに私は責め立てることも出来ずに、きゅっと口を閉じて歯を食いしばった。



「さて、化粧は薄めにだね。あくまでも中性的を守らなきゃだし。」


野々村さんはそう言うと、アシスタントにファンデーションの入った容器を混ぜさせ、持って来させる。



そして、流石プロ、と言わんばかりの手つきで私にメイクを施して行く。
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