【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
兄貴が準備していた黒の盤の衣装を身に纏い、私はヤスの撮影するセットへ向かう。



ごつく細身なライダースジャケットに、緑色のシャツを合わせ、下はダメージ加工のジーンズ。



左腕には皮で出来たバックルに、中指にはクロスの指輪。ネックレスもそれに合わせてクロス。



胸は目立たないようにサポーターを付けて歩く私は、悲しい程に男になってしまった。



スタジオに入ると、社長と右京さんが並んでヤスを眺めている。



モノクロの壁紙に、スタンドマイクだけが置かれた空間がセットされている途中だ。



ヤスはその隣でメイクや衣装の調整をされている。



数分待つとセットチェンジが終わり、ヤスが…月野森きららが、その空間に入った。
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