先生あのね・・・
「誰かいるのか?」
声をかけられて顔を上げた。
懐中電灯の光が眩しい。
「羽田か?」
小西先生だった。
「こんな暗い中で何をしているんだ?」
「探し物を・・・」
小西先生は腕時計を見て
「もう遅い。今日は帰りなさい。
続きは明日にしたらどうだ?」
と言った。
「ダメ!!
あれは直江先生から・・・」
言いかけたところで
‘ハッ‘として両手で口を抑えた。
「もう少し探して帰ります」
そう言って再び探し始めた。
すると
「どんな物なんだ?」
と私に尋ねて小西先生も探し始めた。
「先生?」
「そんなに大事な物なら
一人で探すより二人の方が早いだろ?」
当たり前のように小西先生は言った。
「ありがとうございます。
携帯電話をなくしてしまって…」
「番号は?」
「えっ!?」
「鳴らしたら早いだろ?」
「本当だ・・・。
そんな事思いつかなかった」
番号を言うと小西先生は
早速、自分の携帯電話を取り出し
その番号を押していった。
鳴らしながら歩くと
どこからか着信音が聞こえてくる。
音のする方に近づくと
イルミネーションが光り
携帯電話は見つかった。
私はそれを手に取り
両手で握りしめ目を閉じる。
瞼には先生のあの優しい笑顔。
先生を感じる・・・
「先生、ありがとうございます」
笑顔を向けた。
「見つかって良かったな」
小西先生も安心するように言った。
「はい」
校舎まで一緒に歩いた。
「先生だけです。
私と普通に接してくださるの…」
「そう?だって君は・・・」
小西先生は言いかけて止めた。
それから私は教室に置きっぱなしにしていた荷物を取り
学校を後にした。