禁断の恋はじめます
啓吾の寝息が深いことを
確認して


私は啓吾の唇に触れる。


電気が走った。
私の体は啓吾によって
スイッチが入った気がした。


あの頃のキスとは違うけど
世界で一番愛する人とするキスは
私を幸せな気分にしてくれた。


「啓吾…啓吾の人生が…
閉じてしまうまででいいの。
朱奈を…朱奈をまた
愛してほしい……。」


啓吾は絶対それを拒否する
それはわかっていた。


勇樹とうまくいくことを
願うのは
啓吾の立場から言えば
あたりまえのことだった。


私が啓吾に未練を残すのが
啓吾には耐えられないんだろう。
でも・・・


その優しさは残酷だったりする。


啓吾を愛して
それを後悔するかしないかは
私じゃなきゃ


わからないだろう。


「愛してるの啓吾……。
啓吾の気持ちはわかってる
だけど……私は
後悔したくない……。
でもこの想いが啓吾を
追い詰めるなら私はそれを
必死に我慢するしかないの?」


私は啓吾の胸に
静かに顔を埋めた。


  今生きててくれれば
  それだけでいいのに
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