トリップ
無くなりかけていた不安が一気にぶり返してくる。急いでドアを開けて事務所の中の道を走り抜けて、銃声のした部屋に入る。
目に飛び込んできたのは、金髪の男と警官2人とその手に握られた発砲したての銃と、自然体で倒れている―-土岐。
心臓部から溢れ出る赤い物が、何が起きたのかを物語っていた。
「土岐・・・」
真っ青になってリクは駆け寄った。体を何度もゆする。声だってかけた。しかし、何の返事も無い。土岐の癖である、指を絡ませる握手をしても、握り返してくれることは無かった。
「い・・・嫌だ・・・」
悲しみが溢れると同時に、怒りの矛先が発砲した警察官に向く。警察も、半分が真っ青な顔つきになっていた。
「・・・人殺し・・・!」
泣きたいのを堪えて、憎しみのこもった声を出す。そのまま3人のほうへと歩み寄った。特に目立ったのは、冷ややかな顔をした1人の警官と金髪の男の2人。
「土岐が・・・この人が、何かしたの?何でこんなことしたんだよ・・・。警察が人殺すなんて聞いたこと無いよ。何考えて―――」
リクが言い終える前に、冷ややかな方の警官が片方から銃をもぎ取り、銃口を目の前の少年に向けて引き金に触れた。
先ほど聞いた銃声が鳴り響き、リクは自分の右肩に焼けるような激痛を感じた。
拳銃の1発が、リクの右肩を貫通している。