トリップ
アパートまでまだ道のりがある。
もう日が暮れそうになっているが起こられる心配は無いだろう。
こっちに来てから、両親は帰るのが遅いし、すこし遅れても平気だ。
寄り道でもして行こうかと考えた時、通りかかった公園にリクの姿があった。
ブランコに座って、心ここにあらずという表情でうつむいている。
特に悲しそうな様子も見られないが、どうしても彼が気になり、結局、後ろからリクを見ていることにした。
彼は特に何もすることなく、すこしブランコをゆする程度しか動かなかった。
しばらく様子を見ていると、一人の少年がリクの方に向かってきた。
9歳くらいだろうか、小柄で髪の長い少年は、リクに向かって笑顔で話しかける。
「悠好。(ニーハオ)」
「・・・悠好。(ニーハオ)」
普通なら「何?」か「こんにちは」で返す所だが、リクはそのまま中国語で返した。
その後からはエリカには2人が何を話しているのか分からなかった。
中国語で話しているのか、日本語でないのは確かだ。
「 ・・・ボクト、アソボ。サッカデ。」
少年の喋った日本語が一度、作家と聞こえたが、少年がサッカーボールを持っていたから、サッカーで遊ぼうと言いたかったのだろう。
片言になっているが、要するに一緒に遊ぼうといっている事が分かった。
そんな少年を見て、リクは静かに言った。
「好。いいぞ。」
少年を気遣ったのか、リクは中国語の後に日本語を使う。