気付いてよ

でも、大倉くんは知ってるし、隠す必要なんかないのかもしれない。

「あ、あの…」

話そうとすると、手で制された。

「いや、なんか霧島さん図星っぽいからいーや。自分で聞いて悲しくなってきたし。」

そう言ってにやっと笑う。

「それに、今の状況であいつのこと考えて泣いてたのは許す。」

今の状況…?

「あ、あ、ご、ごめんっ!!」

そうだった。
ぶつかって、抱きとめられてたままだった。

私はすぐに大倉くんの中から飛び退いた。

「そんなに慌てなくても良かったのに。」

そう言って大倉くんは大袈裟に肩を竦めてみせた。

「ホントにもう…。」

私は知らなかった。

たまたま朋がこの光景を見ていたなんて。
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